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沖縄自治研究会

沖縄自治研究会

第4回定例研究会 中

○宮里大八氏  次の沖縄自治州と市町村の関係に関わってくるんですけれども、財政について、ちょっと市町村の皆さんの意見を聞きたいなと思ったんです。市町村の方がいらっしゃっていますので、今、国や県のほうはそういう三位一体とか、そういうものでかなり市町村まで圧迫されているような形なんですけれども、本当に市町村の行政の方は、財源を全部移譲してほしいのか、それをちょっと聞きたいなと思ったんです。

 つまり、財政を全部市町村のほうに置いてくれということは、それは責任も全部下りてくるわけですから、それを財政と責任についてもきちんと自分たちで管理してやっていける自信というか、それをしたいんだという意見があれば、もしくは実際は、「いや、ちょっと責任までは厳しいので、国が一元管理をして、一部市町村でやりたいんだ」という意見でもよろしいんですけども、ぜひ本音の意見を聞かせていただければありがたいと思います。


○比嘉俊雄氏  浦添市役所に勤めております、比嘉俊雄です。
 今のご質問なんですが、正直言って残念ながら考えたことないんですね。日ごろの業務が一番で、だからそういう財政、税源移譲と言われても、なかなか現場では厳しいものがあるんです。厳しいと言いますのは、それを考える余裕というのがなかなかない。また、システム的にも現場にそれを考えさせるというシステムがないんです。だから、そういった意味では、財政は財政、自分たちの仕事は仕事だというようなとらえ方で、今、実質上はやられていると。

 だから、いつも言われることですが、自治体の末端においては危機感を共有するというのはなかなか困難なことなんです。

 それで今、予算要求を提出しましてヒヤリングも終わったんですが、やっぱり指摘されました。皆さんは、現年度予算よりも20%減じた形で要求しなさいと言ったのに、なんで上回っているのか。逆に上回っているのかというようなことでお叱りを受けるところもあるんですけれども、しかし現場としては絶対的にこれはやらないといけないというのもあって、そういうふうな要求になっていくわけなんですけれども。ただ、本当にその税源移譲をされたときにどうなのかということなんですけれども、これは、沖縄は浦添に限っては、やっぱり職員の意識、そういったところをもっと、これは首長自体がそうなんですが、首長自体からそういったことに関しては、やっぱり独立的な気概をもってやっていかないといけないのかなと。

 ただしかし、何も今のところは本当に危機感がないと言うんですね。いわゆる移譲しなさいとか、するなということではなくて、そのものにもなかなか理解がないというのが今、現状ではないかなというふうに思っております。だから、そういった意味ではこういう場で勉強しながら感じつつはあるんですが、それではそれを自分の職場に帰って、どう反映させていくかということになってきますと、なかなか困難なところがあるということです。


○久高氏  先ほど、浦添の方からも話がありましたけれども、権限移譲については市町村レベルでは直接的にはあんまり肌としては感じないというのが実情ですね。もちろん、県との絡みではおそらく若干出てくると思います。例えば今、地方自治あたりでよく話されるのは、中核市とか、特例市という制度がありますけれども、そういう中核市とか特例市になりますと、いわゆる今まで県が持っていたいろんなものを市にある意味で下ろすわけですね。

 そうしたときに、その裏づけとなる財源がどうなるかということになりますけれども、例えば那覇市の場合ですと、ちなみに特例市というのは確か人口20万人以上なんですけれども、中核市が人口30万以上で、面積が100平方キロの資格要件ですけど、那覇市の場合は中核市にはまだ該当しませんけれども、実はこの特例市のほうが該当しているんですけど、要するに申請していないんですよね。

 というのは、内部でちょっと話したんですけれども、この特例市になってもある意味での仕事は移ってくるけれども、自主的な財源担保がはっきり言って見えないと。そういうことで、県との絡みがある意味ではするけれども、やっぱりちゃんとした財源的な担保があれば、現場としてはいろんなことを、市民サービスがやっぱりどうしてもアップしますので、やりたいというのは現場のほうで意見は若干あります。まだ、もちろん根本的に全部署、洗い流したわけではないですけれどもね、そんなところです。


○森田氏  自分のほうも大里村役場のほうに勤めていまして、税源移譲になりますと、実際、そういった各自治体の使い道というのは、やはり各自治体のほうがある程度わかっているんですけど、先ほど浦添の比嘉さんからもあったように、各部署の職員はやはり今までやっている自分の業務があって、予算面まではなかなか自分たちで考えていくようなものができていなくて、今までやってきた業務を前年度と同じ予算配分しながらつくっていくということでしか、今現在できていないです。

 実際、そういった税源移譲された場合は、やはり財政のほうが膨大な業務量が、おそらくそういった取りまとめも出てくるんじゃないかなという感じはします。それで、職員もそれぞれまた考え方も違うので、やはりそういった取りまとめにもいろいろ苦労はしていくので、職員の意識改革とか、そういった税源を移譲されて、それをどのようにしてやっていくか、はっきりしたシステムづくりをしていかないと、いざ実際、税源移譲されて、進めていこうとやった場合は、大きな混乱が出てくるんじゃないかなと思います。

 そういったものも、やるためには前もっていろいろな事務事業の仕組みとか、どういった予算執行とか、そういったものも考えていって、どのようにやっていくかというシステムづくりからまず進めていかないと、予算を国から持ってきたとしても、そう簡単にいくようなことはできないんじゃないかなと思います。以上です。


○島仲徳子氏  モリタさんは財政担当ですか?


○森田氏  はい。


○島仲徳子氏  失礼しました。宮里さんのご質問に、責任をもって自分の考えを述べることができる自治体の職員は本当に少ないと思います。財政担当か、あるいは企画、あるいは本当に上層の方たちは答えることができるかもしれません。松下圭一先生もおっしゃっていましたけれども、今の自治体の職員に欠けている能力は、政策形成能力と、もう1つ、財務能力だとおっしゃっていました。本当にそう思います。

 宮里さんのご質問は、私たちにとっては非日常の質問なんですね。お笑いなんですけれども、比嘉さんもおっしゃっていました。具体的には私は那覇市ですけれども、那覇市で次年度の予算を組むときに、今、分権なんです。庁内分権で、各部で4割の予算を削減して次年度の予算を組んでくださいという指示、方針が出たわけなんです。

 部長はそのことを各課長、課に伝えて、各課では4割減らしましょうということで予算を組む、その姿勢から今の状況を認識しているとは思えない。そういう姿勢で、まず4割ということが最初からできない。結果的にもできないままに、出すということが出てくるわけですね。

 ですから、財源移譲ということがまず何であるかということから職員は勉強しないといけないでしょうし、非常にこれは遠い世界、でも、これは決して遠い世界なんて言っていられない状況ではあるんですよ。というふうな感じで、財源移譲を望みますかという問いに対しては、やはり思わず黙ってしまう。多分、それが一般的だと思います。


○新崎盛幸氏  沖縄市の新崎です。財源移譲を望みますかというお話は、今まで皆さんが語っていたとおりに、おそらくそれ以前の問題だと思うんです。

 しかし、これを望むか、望まないかというのは、行政内部だけでできる話ではないと思っております。やっぱりニセコ町がやっているような各予算の事業について、具体的に分かりやすく住民に対して何らかの情報を提供するというシステム、例えば、予算だけではなくて、決算もそういう形で住民にわかりやすくお知らせするシステム、そういうものがあってはじめて、住民の方々と役所全体が予算決算について情報を共有できるわけですから、そこを踏まえないと、本当に財源移譲が必要かどうかという答えは出てこないと思うんです。

 今の事業の延長線でいくと、お金があればあるに越したことはないわけですから、役所レベルの、要するに企画・財政課レベルの話でしたら、「欲しい欲しい」と言うに決まっているはずですし、かと言って、これをどう責任を持って運営するかというのは、やはりその役所レベルの話だけではおさまらないという気がします。

 それで、やはりどうしても住民・市民への投げかけ、問いかけ、そこから自治体総体の意思を形成してはじめて、本当に必要かどうかという話が出てくると思うし、それを自治州レベルである程度、配分調整が市町村主体で行える方向性が、これからのあり方ではないかと思っています。


○藤中寛之氏  行政本体の職員の方たちから、非常にこれから必要になってくる、考えないといけない、避けて通れないテーマであるというふうにずっといろいろ指摘されました。自分はコンサルの立場で公の施設の管理・運営について、業務に関わらせていただいていますが、その中で、指定管理者制度が導入されました。この制度は、平成3年以前、公の施設は行政直営(公共的団体等)の時代があり、その次に第3セクター等に幅を広げて随意契約をするという時代がありました。つい最近、民間の事業者まで含めて、原則的に公募で指定管理者を選定することができるようになる、という大きな制度改革がありました。

 その中では、非常に財源が少なくなる中で、どうやって自分たちが施設の目的を達成するために、ある意味で必要に応じて民間のノウハウをどんどん導入した中で事業をやっていくのかということを、強く問われるようになりました。既存の随意契約で担っていた公社等の皆さんは、はっきり言ってクビになる可能性がある中で、組織変革を迫られております。

 最近、新聞等でよく出てきているのですが、このような意識、行政本体の公務員の方たちも、ある意味でやっぱり意識改革をするためには、このような仕組みを検討することも視野に入れたら、どうでしょうか。イギリスでは強制入札制度があるようですが、やはり、そこまで視野に入れる必要がないでしょうか。本当に財政基盤が貧弱な沖縄が、単独自治州を志向するのでしたら、痛みの部分にも、目を反らさずに真っ正面からとらえて、クビになる覚悟も辞さない、という気概が必要だと思います。それができないのなら、補助金削減の痛みを、弱い立場の人々にしわ寄せするだけ、という結果になるでしょうし、本当に、このへんは検討してもらいたいです。


○玉城和宏氏   ちょっと後ろのボードに書いたのは、やはり頭の中にみんな共通の何かをつくったほうがいいのじゃないかなと思って、例えば、左側に現状を書いてあります。国のほうから、州にあたるところ、各自治体、市民と、大体上意下達の方向で上から下に、つまり国が国のあり方、自治のあり方、市民のあり方を全部、昔は統括してつくっていたわけです。だから、その必要性で流れが必ず上から来ていた。政策も全部上から来ている。右の理想形のほうは、我々がいろいろお話を聞いていて思うのは、まず基本的に現在の憲法を具現化しようということで、基本的な平等というのがある。それが人間の尊厳であり、いろんなものがあるけど、最低のミニマムがそこに書いてあります。

 そこで、それをサポートするという形で、市民から各自治体のほうに上がり、それから州に上がり、そして国に上がるという、それがまず本来は理想だろうと。つまり、補完するというのは、自治体も補完で、州も補完で、一応、国も、市民に対しては、一般最低限度レベルの補完の役割しか本来は許さないんだということです。まずそれが1つと。

 それからもう1つは個性です。各個人も個性があって、地方自治体もいろいろ個性があります。個性があるときには、そこに優位な製品であるとか、ノウハウであるとか、そういうのが入ります。それを地域の戦略的資源というふうに考えているわけです。

 戦略的資源というのは、ほかのところに持っていって付加価値の高いものになる。だから、例えば、東京にいろんな付加価値の高いものがあったら、それを国がほかのところに配分または移植をしていくという、そういうふうな機能が国には与えられているわけです。その意味の補完システムです。だから、各地方自治体が個人や組織の持っている個性を、その能力を生かしながら、それをほかのところにも活用していくというのが、国や自冶体が全体を補完している関係上、しなければいけない役割だと見ているわけです。

 そうすると、その中でお金が出てくるのは、どこから出てくるかと。少なくとも人間のところからわき出てくる、あるいは地方自治体、会社、組織、いろんなところからわき出てくるわけですけれども、そのわき出た部分というのは、どういう機能を持っているかということを分析してもらったりしで、各自治体で似たような候補を把握してもらったり、州で把握してもらったりして、その機能が戦略的な資源になり得るかどうかを吟味してもらう。例えば、泡盛の話が出てきましたけれども、あれはある意味では戦略的資源の一つになるわけですよね。ほかのところではノウハウをもってしても沖縄みたいにはつくれないということがあります。

 だから、これは単なる理想ですけど、現状と理想と、それから時系列とをわざと書いてあるのは、我々は人間ですから、カタストロフィーを起こして、バーンと右側に行くことはできません。

 だから、それを左側から右側に、もし右側が理想だとして、みんなが納得すればですが、現状から理想に行くときには、どのような推移というか、変換を持っていかないといけないかと。その変換過程の中で、どのような人たちがドロップアウトしたかをみて、その人たちをサポートするシステムも併せて出してこないといけない。だから、そのへんの流れも全部見てほしいということで、ちょっと書いてみました。


○島袋純氏  この前、西尾勝先生が来て言っていたことは何かというと、国から今、県とかにいろんな法律、それから省令、政令、いろんな法令によって支出がきめ細かく限定されて決まっているんですよ、用途が指定されて、義務づけられている部分が大きいと。基本的には市町村において、市民に対して何かを提供するというのは、すべて国の法律に基づいてやっていますよと、まずこれがあるから、基本的にこれは最低支出しないといけないでしょうということで、上を見て、法令を見て、基本的には支出の枠組みを決めていくわけですよね。

 基本的に西尾先生が州が権限を持つはずだと言っていたけど、何か、何かというのは、大綱化すると、そういった省令、政令にあるいは法律で支出を義務づけている部分を大綱化する、自由化する。州がある程度、州の発意によって、その州の条例によって支出の枠組みを決められるようにするということをおっしゃったんです。

 ということは何かというと、今、県レベルで全部縛られている部分が外されて、県の発案で支出の基本的な枠組みがつくられていく。その州の条例に基づいて市町村が独自で支出の基準を決めていくという、そういう方向性があり得るんじゃないかと西尾先生が言っていたんです。

 つまり、今、国庫支出金と、例えば交付税、義務教育国庫負担金も2分の1を出すか、出さないかという、そこのせめぎ合いになって、40人学級であれば1人の先生と、そういった基準なんですけれども、そういったことでナショナルミニマムを保障するのか、あるいは市民の満足度、市民1人1人の満足度ということを前提にナショナルミニマムというのを想定するのか、そこの問題なんですよね。

 基本的に今井照さんが言っていましたよね。今井さんが、その前の日に来て言っていた話は、要するに、義務教育国庫支出金に関しても市民の結果ですよ。要するにサービスの質、水準、市民の満足度に応じてナショナルミニマムという発想をすれば、国庫支出金が法律によって義務づけられていく、2分の1、40人に1人と、そういった国から決めた水準で守るということではなくて、市民の満足度、要するに教育のサービスの質、水準のそこで統一すればいいんじゃないかという話をしていたんです。今はそうなっていない。今はすべて上からいろんな法律、省令、政令、いろんなもので、あるいは規則で決められているわけですね、法令によって。会計監査とは何かというのは、法令を調査するわけですよ。法令を見て、法令どおりに支出されているかどうか。

 それをすべて大綱化せよと、大綱化の原案は沖縄自治州をつくれという話まで、西尾勝先生はしていたわけです。沖縄はさらにもう一歩踏み込んだ通産省の権限事項、あるいは財務省の権限事項にまで入れたらいいじゃないかと、そのために95条を特別に使えと言っていたんです。

 それで、こっちに行くときにどうするか。今は、基本的にすべてのいろんな省令とか、規則とか、中央からの指示、指揮命令系統で全部予算が編成されて、こっちは見ないわけですよね。基本的に市民は見ない。市民のニーズをはかって、それで予算編成していくというやり方はしないわけですよね。

 これからどう転換していくかという、要するに、市民の満足度、顧客の満足度、それを徹底的に調査して、それで予算を組み上げていくという、全くボトムアップ方式のやり方をやらないといけないんです。それはいいですよ、法令に基づいているから支出するではなくて、市民が満足するか、本当に満足度がこれで達成できるのか、それに基づいて予算編成していくというやり方なんです。これは相当シビアなやり方で、これを今、日本全国でやられているところが、本当にやられているところがあるかと言ったら、ないわけです。沖縄は特にないわけです。

 実を言うと、志木市だとか、ニセコだとか、目的として最終的な目的はそれなんです。法令の枠組みを全部外しても、市民1人1人の満足度が上がるような予算編成をつくれるかという問題なんです。だから、ここがすごい到達目標が明白にあの人たちは持っているわけです。あのニセコ町長だとか、志木市の市長なんかは。だから、いろんな特例法、特区という申請を出せるわけですよ。目的があるから。

 あの発想、一切、特区が沖縄から出てこないのは、この発想が全くないからです。この前の南部の4町村の合併も、市民のニーズから新市建設計画をつくるかというと、全然つくらない。市民のニーズ調査なんか全くしていないです。それは4人の首長同士の密室談合です。談合でしかやらないわけです。それで談合でやるのが、それこそ首長の権限だと思っているから、談合が失敗したら、合併協議が破産してしまうじゃないですか。市民のニーズから積み上げないからですよ。

 ここからここにどう移転するかという問題では、ここからここにどう移転するかという問題。1ついろんな手法としてあるんですけれども、だから、この1つがその事業評価とか、評価のシステムがこっちにくるわけですよ。評価というのは。評価というのは個人で評価すると同時に、市民によって評価させないと意味がないんですよね。市民によって評価させる。あとはだからローカル・マニフェストだとか、いろんな目標管理の手法というか、目標をどこに置くかというときに、中央から見た目標ではなくて、市民が考えた市民の顧客満足度という、そこを中心に置いた評価のシステムで再構成していくわけです。

 これが沖縄であり得るのか、できるのかという問題で、一番できそうなのは、雰囲気から見ると那覇市はちょっと頑張っているかなと見えるんですけれども、わからないです。ちょっと大きすぎるという問題があって、これがここをどうやっていけるか。先ほど、要するに国は予算を全部極大化して、会計というのは基本的に予算編成というのは極大化していく方向で削ることはできないと浜里さんが言っていたじゃないですか。

 これは何でかというと、ボトムアップの予算編成をしていないからです。上ばっかり見た予算編成ばかりしかしていないから、上の法律、いろんな省令、政令、そういった基準に合わせていくということでしかないから、予算は極大化しかしていかないわけです。

 こっちの満足度、資源の最適配分、顧客の満足度ということを、市民の満足度をもとに全部編成して法律を全く見ないでいけば、実を言うと4割カットは可能性があるわけです。今、それができないのは、基本的に全部これでがんじがらめにされているわけです。そういった部分ですね。それを本当にがんじがらめを全部削って切って、こういったボトムアップ方式の予算編成ができるかといった問題ですよね。それを本当に目指すのか、それを意識しているのか、道州制の設置のときにそれをやっていくという方向性が必要なのか。

 基本的にこれは松下圭一もそうですが、西尾勝が考えているプラス、松下圭一が考えているのは、今、日本全国の流れはこの方向だったわけですよね。これをしっかり把握して道州制、市町村再編成というのをやっていけるかどうか。行政学者とか、松下圭一先生とかは、そこまで考えていると思います。


○玉城和宏氏  すみません。ここのほうも実はこれはある程度、最終状態が達成されたときの形態を見ています。ですから、ここのローカルなところのリンクは、いろんな人たちが集まって地域貢献をするとか、それから自治体と一緒になっていろんな貢献をするとか、あるいはあっちとこっちの交流とかという、そういう公の情報交換、あるいはいろんな政策的な交換というのは、もちろんありますが、局所的な話としては全然仮定していないわけです。だから、一番ボトムだけの状態で考えていて、その状態、つまり、地理的局所的なレベルでということになりますが、さっきの教育の話に戻るけれども、離島にいたほうがある意味、環境がいいわけですよ、教育とかは。那覇市に居てガジャガジャと回りからいろんな変な情報を得るよりは。

 そうすると、子供がもしフリーで、あっちこっちへ、集団で自由に、勉強のためであれば動き回れるよという、そういう教育環境インフラをつくれば、それはすぐ実行できるわけです。例えば、大人が利用しているバスなどの交通機関に、小さい子供やお年寄りとか、弱者をかばうということは必要ですけれども、それ以外の空いている席があれば、どんどん格安で乗せてあげる。例えば、北海道から沖縄まで、教育的見地から必要とされる場合は、若い人たちを、国の政策として、格安で乗せるべきだと私自身は思っているんだけど、そういう形でやれば、既にあるインフラを使って、子供から料金を取るなんてケチなことはしなさんなという、そのぐらいのことがいろいろと考えられるはずだと、それが行政の皆さんの手腕だと思っています。


○新崎盛幸氏  先ほどの島袋先生のお話を聞いて、やはり沖縄自治研究会が提案するモデル案ですので、やはりここを目指していかないと意味がないと思うんです。
(テープ1本目A面終了)
……全項目にわたって、それがはっきり見えるような形をつくっていかないといけないのではないかなと思っています。


○難波田到吾氏  先ほど財政運営能力ということで、小さい自治体、例えば離島であるとか、そういうところには財政運営能力を持った人材が必ずしもいるとは思えないので、やはりある程度大きな塊でやっていくしかないのではないかと、濱里さんからあったと思うんですけれども、今の合併論議もそういうところからきているのかなというふうに思うんですけれども、ただ収入があって支出があってというのは、別に行政に限らず、もうどこにもあることですよね。個人レベルでも、収入があって支出がある、で、毎日その財政を運営しているわけですよね。

 集団の大きさに応じてそれなりの財政があって、その財政の大きさに応じた財政運営能力というのが求められるということであれば、仮に自治体の規模が小さければ、財政の規模もそれなりに小さくて、それに応じたぐらいの財政運営能力を持った人間は、その小さな集団の中にもいるだろうというふうに考えれば、必ずしも大きければいいというものでもないのかなというふうに思いますし、また今、出された理想形から言えば、自治体の規模が大きければ大きくなるほどニーズを吸い上げるということは非常に難しくなると。

 例えば離島なんかを全部まとめたら、財政担当者はその離島1つ1つ島めぐりをして、ニーズを聞かないといけないのかという話にもなりますよね。だから今、行政の財政運営能力というのが結局、高度な運営能力が要求されるのだとすれば、それは何かというところを見ないといけないと思うんですけれども、僕もあんまりよくは知らないですけれども、例えば、それは法令に基づいてやらなければいけないから、その法令をちゃんと知っているという行政能力であるとか、あるいはどうやって補助金を引き出してくるかという行政能力であるとか、そういう行政能力がなければ、今の財政は運営できないということであれば、その制度自体に問題があって、実は集団の規模の問題ではないのではないかという考え方ができるんじゃないかなと、ちょっと今の話を聞きながら思いました。


○玉城和宏氏   先ほど、最終的なレベルの、いろんな離島に回って1つ1つ聞かなくてはいけないというお話がありましたけれども、それは時系列的に移動するときには、そういう情報をインターネットなり何なりに置くとか、あるいは、1人1人のところまで専門家が行くとかではなくて、各部門の人達が基本的インフラとはどういうものかということを、まず大まかにでも全体的に把握し、基本的インフラに関係して説明するとか質問を受けるときに、基本を把握している離島の1人に任せるとかすればそれで事足りるわけです。
 完成した組織レベルの後の、すぐには対処できない具体的な市民のクレームであるとか住民の生活揺らぎとかは、その市民から上のほうに順次上がっていけばいい話なんです。何も一々聞く必要はないと考えています。


○濱里正史氏  そろそろ時間がなくなってきましたが、先ほど来の話を聞いて、一応つけ加えておきたいと思います。公務員の給与体系と、先ほど住民満足度を中心にボトムアップという話に絡みます。

今までの自治体の行政職員は、補助金が取ってこれる、予算がきちんと消化できるというのが評価対象だったかと思います。そうした中では、そうした職員しか育ちません。今後、住民が何を望んでいるかという住民満足度を上げる能力の高い人を育てようと思うなら、そういう人が評価されて昇給していく、そういうシステムを同時にやる必要がある。逆に言えば、そういうシステムがないとおそらくそんな職員は出てくるわけがないという気がします。

 あと、いろいろ難しいことはありますが、ここは理想をやはり高く持っておいたほうが良いと思います。実際、本当にやるときには、妥協策も必要という話が出るかもしれないが、今から妥協していてどうするという話がありますので、理想は高く持って考えていきたいというのが1つです。
 あと、具体的な提案として、収入部門で、ナショナルミニマム、あるいは沖縄のミニマムという概念を入れるというのが1つ、それと、その内容については、議会もしくは住民が決めるという一文を入れる。あと、これはそういうのが現実的かどうかはともかく、憲法上で保証された権利、これが沖縄の住民にとってどんなものなのか、具体的なレベルに落とし込む、そういう表ではないけれども、これを別途定めるというふうに一文入れたらどうかと思います。

 要するに今、ナショナルミニマムの正体が実はわからないし、そもそも、これは、年次、時代が進化していけば、三種の神器がどんどん進化しているように、どんどん変わっているというところがあるので、沖縄県民が考えるナショナルミニマムを、住民もしくは議会である程度つくるというのを1つ入れる。その実現のための予算措置に関しては、市町村と自治州がそれを実現するための役割分担とかを話し合いながら予算の配分を決めていく。

 予算については、それを実現するために必要な予算は国が保障する一方で、自治州と市町村との分け方については、役割分担や、小さい自治州政府にするのか、権威を持たすのかによっても違うと思いますし、それはやはり市町村の代表と自治州の代表が話し合って決めるというようなシステムが、今のところはいいんじゃないかなと思います。

今、話を聞いていて、そういう文章を入れていくと、先程の話に近くなるんじゃないかなというのが具体的な提案です。
 
まだあと1つありますので、特にこれだけはというのがなければ、次の話に引き継ぎたいと思います。
(休 憩)

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【2.沖縄自治州と市町村との関係(ファシリテータ:宮里大八)】
○宮里大八氏  続けて再開します。
 沖縄自治州と市町村との関係を担当しています、宮里大八です。

 先ほど財政の話でも出ていましたけれども、最終的にはこの話なので、私は別にそんなって途中から思ったんですけれども、一応、時間の割り振りがありますので、皆さんにお配りしている2枚のたたき台の資料があるかと思います。こちらはちょっとカラーで作っていて、電子ファイルは見やすくつくったつもりなのですが、白黒になるとちょっと見にくくなっていて大変申しわけないです。ファイルはまた後でメーリングリストに送りますので、カラーの資料をまた見ていただければありがたいです。

 まず、1枚目のほうの(1)というふうに書いているものから若干説明させていただきます。私のほうで大体20分ぐらい説明して、その後で皆さんで議論していただければと思います。まず、沖縄自治州と市町村との関係、1、2、3と、この3つはG2のほうで提案された3つだと思っています。このものを抜き出しています。

 1番目に、自治州と市町村の関係は対等・協力を原則とすると。自治州は、市町村の自治を尊重しなければならない。
 2番目に、市町村は、基礎的自治体として、地域内の事務と権限を優先的に配分される。州は、包括的自治体として、市町村が行うことが適当でないものを補完的に処理する。
 3番目に、沖縄自治州と市町村の紛争を調整するため、沖縄自治州に自治紛争調停委員会を設置する。自治紛争調停委員会は、知事から独立して職権を行使するものとする。
 というような3つがあります。

 この3つを一応、図にしたのが下のものです。これは現行の都道府県と市町村の関係をもとにつくってあります。まず、沖縄自治州が左の丸、こちらが役割として3つありまして、広域にわたるものが1つ。2つ目が、市町村の連絡調整に関するもの。3つ目が、一般の市町村が処理することが適当でないと認められるもの。これは補完的事務というような形になっております。

 市町村については右側の丸で、2つあります。地域における事務と、都道府県が処理するものとされているものを除いたものというような大きな枠であります。この真ん中に共通な部分として、地域における事務、その他事務で、法律またはこれに基づく政令により処理されるものとするものということで、お互いに補完をしながらやると。ただし、真ん中のちょっとギザギザのほうで入っていますけれども、競合してはならないというような自治法の第2条第6項がありますので、これは競合せず住み分けをして、きちんと自治州、都道府県と市町村が対等・協力で行っていただきたいと。

 その紛争、例えば競合した場合ですとか、あとは市町村が都道府県、もしくは沖縄自治州に対して異議申し立て等があった場合は、自治紛争調停委員会というのを知事部局から独立した、知事から独立した職権という形で審査要求をして、こちらで取りまとめていただきたいというようなことになっています。

 右側のほうに課題として、点線で囲ってありますけれども、現行の地方自治法は市町村が事務処理をする中で、都道府県の要求、拒否があった場合には、総務大臣に提出されるのですけれども、沖縄自治州の場合はだれに果たしてそれを行うのかというのが、まず議論、皆さんで意見を出していただければと思っています。

 下の枠のほうに、沖縄自治州の業務事例ということで、3つ大体あるのかなということで出しています。

 広域的な事務としては、地方の総合開発計画の策定、資源開発、天然資源の保全等々、市町村に関する連絡調整事務、市町村合併、福祉事業モデルとか、離島村過疎の支援、補完的事務として、高等学校、大学、試験研究機関等々があるということになっています。

 ただし、この3番目の補完的事務については後で述べますけれども、ニセコ町は町で高校を持っているそうです。これはこの間、ニセコ町の町長と、あと教育委員会の方がいらっしゃったときに話をされていたのですけれども、町で定時制の高校を持って、観光と農業でしたかね、それの特別な町独自の高校を持って、町の施策と言いますか、観光、農業に特化した形で人材を育てて、地元の企業とタイアップして、現業実習、今で言うとOJTみたいな形でどんどん地元の企業と一緒に連携を取りながらやっているという事例があるので、この権限についても市町村でも可能というお話を聞きました。こちらが現状の自治州と市町村の関係というような1枚目のペーパーです。

 2枚目、沖縄自治州と市町村との関係というのがあります。よく言われているのは、ホワイトボードにも書いてありますけれども、国から州に下りて、市町村に下りてという、上から縦にどんどん下りていくというのを、よく図等では出るのですけれども、私はその上から下にというのが嫌いというか、あまり好ましくないので横にしてあります。

 基本的なものは住民であろうと。皆さんから先ほどから話が出ていますように、住民から地域の自治組織、公民館等を中心にした自治体と、その次に市町村、沖縄自治州、国というような形で、本当に対等・協力であれば横にしてしまって、住民も国も同じような権限なり、それぞれが意見を言い合えるというような関係になるのが、本来は望ましいのではないかというような形に書いております。

 そちらの各それぞれの対象者であったり、サービスであったりというのが、その下につけてあります、先ほどから出ているのは市町村、自治州、国については、以前、藤中さんのほうから報告があった司法とか、外交とか、防衛とか、そういったものは国がまとめて全部やるのではないかと。自治州については防災とか、道路とか、あとは福祉の広域的なものであったり、全域の住民と。市町村については広域な住民、市町村単位の住民に対するサービス。

 地域の自治組織というのは、公民館等を中心にした地域住民への自治体、自治会の活動、NPO等との連携を取りながらの地域に根差した草の根的な活動。住民は本来、自分の家族ですとか、親戚ですとか、近所の方ですとか、そういった近い存在で一緒になって、教育というのは、これはしつけとか、そういったものですとか、あとは介護では自分の親を介護するとか、そういったレベルでのサービスというのがあるのではないかと。

 その下に矢印で補完の原理、対等・協力の関係というふうにありますけれども、今まではどちらかというと、国しかできない、できないというのは語弊がありますけれども、国がサービスは都道府県に下ろそう、ここで言う自治州に下ろそうと。自治州がこのサービスは市町村に下ろそうとか、上からどちらかというと、この図で言うと右から左への補完の原理というのは出ていたのかなというふうに思っています。

 そうではなくて、住民から自分たちでここはできますと。これは住民に任せてほしいというような形で、どんどん住民、地域の自治組織、市町村、自治州というような形で、小さな枠からどんどん大きな枠に移しかえていく、つまり、自分たちで最低限これだけはできますという、本当に自立したような形のものを、このスキーム図では一番うたいたいというような形にしています。

 その下のほうに、新たな補完性の原理ということで、今、説明をしたような形で、右から左への流れではなくて、左から、つまり住民から国のほうに向かってサービスを行っていくと。つまり、自分たちで満足できるのは自分たちでやりますというような形のものが望ましいので、それを可能かどうかというのをご議論いただきたいと思っています。

 2番目のほうに、新たな補完性の原理を基本とする沖縄自治州と市町村の新たな関係を構築するためには、都道府県知事の市町村長、行政長というふうに地方自治法にはありますけれども、事務への委任の規定というのは、廃止、または見直す必要があるのではないか。つまり、先ほど言ったように、都道府県なりから全部市町村に投げるというのではなくて、市町村が自分たちで取ってくると、それぐらいのものを出されたらいいのではないかと思っています。

 もう1枚本当は作りたかったのですけれども、ちょっと時間がなくて作れなかったのでホワイトボードで説明したいと思います。

 私はもともとこういう憲法とか行政よりも、学部は工学部でした。やっていたのはコンピューターです。情報系のやつで、これとどう関わるかというのを一生懸命考えていて、私が研究をやっていたのはネットワーク・トポロジーというのを勉強していました。

 ネットワーク・トポロジーというのは、これは例えば、皆さんスーパーコンピューターはご存じですよね。すごい大きなパソコンというか、計算をさせるようなコンピューターですけれども、それとPCクラスターという概念があります。

 つまり、一極集中で計算をさせて、その解をトップダウンで下ろしていくという仕組みです。私がやっていたのはPCクラスター、これはパソコンです。クラスターというのは、多分、いろいろお話を聞くと思うのですけど、ブドウの房という意味です。つまり、ブドウの房はブドウがたくさん集まってくると、それが1つのブドウの形になりますけども、そういう個々の情報が集まって1つの大きな計算処理をさせるというのが、PCクラスターです。

 PCクラスターはどういうものかというと、これが1個のパソコンだとします。それを並列に計算をさせます。並列に計算させたものを、よい解を上に上げていきます。つまり、いい答えを上に上げていくと。さらにまたここで並列に計算をさせます。それをさらにまた上に上げていくというような形で、常に横の連携を取りながら、いいものはすべて上に吸い上げていくと。ボトムアップの原理です。

 最終的にいい解はここに出てくるであろうというようなものが、ネットワーク・トポロジーです。ネットワ
ーク・トポロジーは、先ほどこの横のつながりというのは、最初はいい解が出るだろうと。つまり、よい答えが出るだろうと。横のつながりで常に答えを計算し合うと、よい解が生まれてくるというのが最初の出発点です。

 そのような考えは、ジェネティック・アルゴリズム(GA:遺伝的アルゴリズム)という概念で計算処理を行っています。

 GAは何かというと、人間も動物はすべて遺伝的なものをDNAに持っているわけですね。生命が進化する過程で、染色体は評価、選択、交叉、淘汰等を繰り返し、良い子孫を残そうという取り組みを行っています。これが私の専門でした。

 その理論をどう使うかというと、コーン・トポロジー、(コーン:アイスクリームのコーン、道路のコーン)という概念を卒業論文の際に私なりに構築しました。この概念は、良い解がどんどん上に上がっていくというものの仕組みができています。

 これを生かした形で、つまり先ほどの市民、住民のレベルのよい情報をどんどん上に上げていくと、さらに基本的な自治体、こちらからまたさらに州に上げていくと。そうすることによって、お互いにこれはネットワークで共有されて、情報の交換が行われていますので、最適解、つまり、一番良い答えというのは多分出ないと思うのですが、最適な、最も理想的な答えというのが道州に出てくるであろうというような概念です。

 ですので、同じような仕組みで、つまり、ここから横の連携、つまり縦の連携を行うことによって、情報というのはよいものが生まれてくるし、それから解が出てくるのかなというふうに先程の財政の際に議論された話も聞いていて思いました。

 私の持ち時間はもう少しですので、これをやるためには、どういう形で情報を吸い上げるのかというのがひとつ課題になっていまして、先ほど話にも出ていましたけれども、首長なり、市民から話を吸い上げるためにはどうするかというと、私の考えでは、基本的に、住民の方々の代表は議会の、議員の皆さんだと思っています。

 つまり、選挙で選ばれた市民の代表である議員と首長が、予算の調整、政策の調整を行う必要があると思います。

 首長が議員の話も市民の話も聞いて、最終的なその首長が自治州と一緒に政策的なものを議論、もしくは財政的な議論をできるまでに、こちらも各自治体の代表として対等な関係で常に情報を共有する、もしくは意見が自由に言える場を持つというような形のものがあればいいのかなというふうに思います。

 今、三位一体改革で6団体の代表とか、そういった方が直接国に今話を持っていっています。そういうような形で、沖縄は52市町村の首長と州のトップ、州知事と三役ぐらいまでを含めた形での意見が言える場、つまり52プラス3のメンバーで、意見が言える場を、例えば半年に1回、もしくは財政の調整する前に1回持つといったものを、この自治州の中で設置できれば、本当に市町村と沖縄自治州の関係はもう少しいい関係になるのではないかなと思います。

 1時間になりました。皆さんに意見を伺いたいと思います。

○玉城和宏氏   ネットワーク・トコロジーの形でPCクラスターをつくってやった場合に、基本的にはあそこ、一番ベースのところでインタラクションというか、相互作用を設定しないといけない。相互作用を設定するというのは、実は違いを明確にしていて、その違いの中から組み合わせで安定したポテンシャルの低いやつを選びながら、どんどん選んで低いレベルへいくというシステムだと思うんだけど、基本的に人間の場合には、生活のインフラのレベルをできるだけ高次にしていく。つまり逆に言うと、複雑にしていくというメカニズムなのですよね。生活を豊かにするという。

 だから、そういうところのちょっとした乖離みたいなものを感じたものですから、それをどのように自動化するにしても。将来、高次化という意味の自動化ができれば、非常にすばらしいと私は思います。例えばいろんなクレームが来て、ネットワーク・トコロジーにいれてしまえば機械がバーンといって、それの影響は云々という形で、影響評価が一瞬のうちにパソコンでできるわけだから。

 だけど、初期設定も含めて高次化するという方向というのはコンピューターが一番苦手な部分で、我々はやはり生活の豊かさを求めているのであって、最低ポテンシャル、最低レベルからどのような形で生活を高次化していくかということが求められているわけですよね。

 だから、そこの部分との、もしネットワーク・トコロジー使われるんだったら、つくられるんだったら、将来、またそういう高次化するという意味合いはどのようなものかという事を検討して、ぜひ入れておいていただきたい。理念というのが多分、有効なキイワードだとは思のだけど。

○藤中寛之氏 
 先ほどの玉城さんの視点とすごく共通することだと思うのですが、仮に沖縄が単独の自治州としていく場合には、例えば、九州とは違う自分たちの独自の産業政策や教育政策、行政システムのあり方等について、個々人の視点から、「どうしたいの?そうするためには、何が課題になっているの?」という提起から、みんなで大々的に議論し合って、総意の下に、単独の沖縄自治州のかたちをつくっていくことが、大切であると思います。その前提のもとで、自ら構造改革を断行する痛みの部分を、弱者にしわ寄せせずに、しっかりやることが肝心であると思います。

 そういうことを自分たちの、沖縄というレベルでやっていくのだということだから、どうしても個々のいろんな住民の人たちのレベルでも、すごく不満もいっぱい相当出ると思うのですが、そこらへんを真正面から向き合わないと、沖縄というところで価値の優先順位を決めてやっていくということの意味合いが達成できないでしょうし、はっきり言ってしっかり改革ができないような気がします。やはり、そこらへんは、52市町村横並びで、州知事と、というような関係の文脈でも、やっぱりちょっと議論は必要かなというふうに思いました。

 別の件なのですが、先ほど大八さんが説明されました国のゲームとして、藤中のほうが司法と通貨と外交と防衛というのを、州に変えていたというふうな形でこちらにも書かれていますが、確認になるのですが、自分としましては、一般的にはこのように外交、防衛等は国の業務としてされているのですけれども、やはり住民の視点で考えましたら、自衛権というのは本来、住民にあって、その信託を受けて住民を守るということが、自治体の一番の業務だと思います。その意味で、国の専権的な業務とされている外交とか防衛等についても、自治体による「無防備地域」の宣言等、何らかの形で国と対立してでも自治州が持つようになったらいいなというのが、自分が指摘したことです。ちょっと確認させていただきました。



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